No. 46 – Conditional PR

by | May 10, 2017 | 連載記事 | 0 comments

2012年10月25日にカナダ移民局が成立した、”Conditional Permanent Residence”という法律についてご存知でしょうか? 先日、移民局の大臣が近い未来この条項を廃止するとの意向をインタビューにて述べました。政権が2015年11月にLiberalに渡って以来、ご存知の通り移民局の大臣は法律の変更について様々な発表を行っています。このConditional PRについてもその変更のうちの一つとなります。

Conditional PRとは?

家族移民(配偶者)申請時、スポンサーと配偶者の間に子供がいない場合、或いは結婚・コモンローの関係を成立してから2年以上の期間が経過していない場合には、配偶者がPermanent Residenceを取得した際、特別な条件を移民局より課されることとなります。その条件とは、PRを取得した日以降スポンサーと配偶者は2年間継続して同居しなければならない、ということを指します。Conditional PR期間であっても、通常のPRとしてのカナダでの権利との変わりはありませんが、この期間中にもしも二人が別居・離婚した場合には、残念ながら配偶者のPRが剥奪されることとなります。これをConditional PR、すなわち条件付きのPRと言います。
Conditional PRは “marriage of convenience”、すなわち偽装結婚を元に家族移民申請をする人達が増加したことによる政府の対策として実施された法律です。2013年にCanada Border Services Agency (CBSA)が発表した内容によると、中国・インド国籍の家族申請者のうち、3割は偽装結婚であったという調査結果が出ているとのことでした。この数は将来のカナダの移民システムを脅かす数であると言われており、政府がConditional PRという法律を実施することで、今後このような偽装結婚のケースを増加させることを防ぐ対策を取ったということになります。

賛成派意見

Conditional PRを廃止することに賛成している人達のうち、多数の人がこの法律自体を「女性やマイノリティーの人種に対して不利である」と考えているようです。その理由として、移民権にConditional PRが適応となった人達のうち64%が女性であり、移民申請の審査中・審査後にスポンサー(配偶者)から暴力やDVの被害を受けている場合、PRとしてのステータスが奪われてしまうことを恐れるがために逃げられず、継続して被害を受けているとの報告が出ています。
その他の理由として、実際にConditional PR期間中にスポンサーと配偶者が2年間同居しているか、ということをCBSAが確認していないため、法律の効力自体がないのではないかとの厳しい指摘もあります。

反対派意見

また一方では偽装結婚を元に移民申請する人達を止めるためにも、Conditional PRを廃止することはやめた方が良いのではないか、すなわちこのまま継続すべきという意見ももちろんあるようです。この法律を廃止した瞬間から偽装結婚による移民申請者のケースが大幅に増加するであろう、とも言われています。
中にはConditional PRを完全に廃止するのではなく、偽装結婚の疑いがあると最終的にOfficerが結論付けたケースに対してのみ、Refusal Letterを送る代わりにConditional PRを申請者に課すことはどうか、という意見もあるようです。

廃止予定の理由

このConditional PRを廃止することの理由についてカナダ移民局の大臣は、「(国内申請の場合)家族移民申請の審査期間を2年間要している上、晴れてPRを取得した後さらにConditional PRが2年間適応されるということ自体言語道断である」と述べています。「現在Conditional PRという法律を廃止する準備を整えているとともに、家族移民申請の審査期間を大幅に減少すべく動いている」とのことです。特に国内申請の審査期間の長さは選挙のキャンペーンの際にも国民から厳しい指摘があり、移民局の早急な対応が期待されています。

いつ変更になるか

移民局の大臣は、具体的にConditional PRがいつ廃止になるかということまでは残念ながら発表しておりません。ただ数ヶ月のうちには何らかの動きがあると述べています。そして新しい法律が成立次第、大幅に家族移民申請の審査期間が減少されるであろうと述べています。