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キャリアチェンジを決意【3回】

何もできない自分

seneca-college留学エージェントでカウンセラーとして働き始めて2年間が過ぎた頃、仕事内容に物足りなさを感じるようになり、特にビザに関しての質問を生徒さんから受ける時にそう感じることが多くなっていました。困っている生徒さんを助けたい。でも経験も知識もない。アドバイスをしたくても「弁護士に聞いて下さい」としか言えない。そんな自分がとても冷たい人間に思えました。
英語を勉強しにカナダに来て間もない生徒さん達にとって、通訳もなしに自分で弁護士事務所と連絡を取り、相談をするなど到底できるはずがないことだからです。とても歯がゆい思いでした。夢と希望を胸にカナダに来たにも関わらず、最終的にはビザや移民の問題で夢を諦めて日本に帰国する生徒さんに別れの言葉をかけるたびに、自分の不甲斐なさを感じました。

考え抜いた末・・・

移民権を既に取得していた私は「綾さんはいいですね、ビザの心配をしなくていいんですものね」と生徒さんの一人に言われてハッとしました。私はこんなに恵まれているのに、その環境に甘えてばかりでこの生徒さん達のようにカナダでの夢を持っているのだろうかと。自分の本当にしたいことをしているのだろうかと。そしてカナダで一生この職に就いていたいのかと考えました。将来の職について考え出すと次第に「カナダの法律を日本語でアドバイスできる人になりたい」と思うようになりました。特定法律の分野についてはその時点で考えてはいませんでした。トロントに住む同じ日本人として、納得いくまで法律を日本語で説明できるような、そんな人になりたいと思いました。
キャリアチェンジはとても勇気のいることですし、何よりも人生を変える決断になると分かっていたので、信頼する友人二人に相談しました。「仕事を辞めて、カナダの法律を勉強しようと思うのだけど、どう思う?」と聞いたところ、二人とも即答で、「いいと思う。」と言ってくれました。私のカナダでのそれまでの苦労を身近に見て支えてきてくれた友人達だったので、私が将来のことを考えて動き出したことに対して喜んでくれました。

学校選び・入学試験

キャリアチェンジを決意してから早速プログラムのリサーチに取り掛かりました。そしてどうやら私が将来したいことを勉強できるのはParalegalプログラムであるということが分かったので、次に学校選びを始めました。まず最初に私立のビジネススクールに話を聞きに行きましたが、スタッフの説明に不明な点が多く、見学後に入学するかしないかの催促の電話が頻繁にあったため却下しました。(その学校は後に倒産していました。)
カナダに長く住む友人の勧めで、次はSeneca-Collegeを受験することにしました。入学試験当日初めて訪れた校舎はさすがカナダ最大の公立学校だけあって、とても立派でした。試験科目は英語と数学でした。試験後にスタッフの方とプログラムの話をしましたが、「法律関係のプログラムを第二言語で勉強するのは正直無謀だと思うわ」と言われ、とても落ち込んだのを覚えています。
結果を待っている間、スタッフの方に言われた言葉を思い出し、不合格の知らせを覚悟している自分がいました。

長い道のりの始まり

試験を受けてから1ヵ月後に試験結果と共にCourt and Tribunal Agent Program(現Paralegalプログラム)への入学許可書が郵送されてきた時には飛び上がって喜びました。新しい自分への第一歩だと思うと興奮して眠れなかったのを覚えています。無事入学できたということは学校との縁だと思い、迷わずSeneca College入学を決めました。日本の大学では舞踊専攻だった私が、法律などというその当時の自分からは考えられないような分野でのキャリアチェンジを決意したことに少し不安を感じながらも、決めたからには絶対に目標を達成しようと自分に誓いました。
しかしながらその当時は目標達成までに予想よりも長い時間が掛かることになろうとは思ってもいませんでした。

次号は3年間の学生生活を振り返ります。