公認移民コンサルタントになるための第一歩【7回】

by | Jul 30, 2014 | 連載記事 | 0 comments

再び母校へ

seneca-collegeLegal Assistantとして働いた移民弁護士事務所を退職し、公認移民コンサルタントとしての資格を取得することを決めた時は晴れ晴れした気持ちでした。自分のしたいことを再確認して安心したような、そんな気持ちでした。Paralegalプログラムで仲良くなった友達は皆「Paralegalとして働けるのに、どうしてわざわざまた大変な思いをしてまで違うプログラムを取るの」と不思議そうでしたが、私はとにかく公認移民コンサルタントになることしか考えていなかったので、再度学校に戻ることに関しては抵抗は全くありませんでした。

カナダで公認移民コンサルタントになる為には1年間のImmigration Practitioner Programというプログラムを修了し、卒業後に国家試験をパスすることがその時は義務付けられており、幸い私の母校であるSeneca Collegeで指定のプログラムを開講していたので迷わずそれを選びました。プログラム内容については何人かの先輩方から「勉強量がすごすぎて途中で挫折した人が続出」したということは聞いていました。私は「大変だと言っても、Paralegalプログラムの時ほどではないだろう」という気持ちと、「移民弁護士事務所で働いた経験があるのだからその時に養った知識で乗り越えられるはず」という気持ちがあったのでそこまで緊張はしていませんでしたが、実際は思っていた以上にハードなプログラムでした。
プログラム初日に学校へ行くと、クラスの年齢層が高くとても驚きました。ほとんどの生徒が 代から 代で、既にビジネスを持っている人、リタイアしたけれど第二の人生を新しいキャリアでチャレンジしたい人、法律事務所でLegal Assistantとして働いている人などが多く大人のクラス、といった印象を受けました。カナダはこうして年齢を問わずにキャリアチェンジの機会を与えてくれる国なので本当に素晴らしいと思います。

プログラムは項目が6つに分かれており、カナダの移民法の歴史、一時滞在者ビザ、家族移民、個人移民、難民法、移民コンサルタントとして守らなければいけないルールなど、それぞれ深く掘り下げて勉強しました。小テストはほぼ毎回、大きなテストも項目毎にあり、一つの項目が終わる度に規定の成績以上を修めていない生徒はクラスから除籍されていきました。クラスから生徒がみるみるうちに減っていき、まさにサバイバルといった感じでした。勉強量はParalegalプログラムの時と比べるとほぼ同じ、或いはそれ以上で、ひどい時には1週間で   ページ程読んでアサイメントを提出することもあり、精神的にも体力的にも大きな負担を感じていました。

教授にInspireされて

どんなに勉強が大変でも、授業は毎回楽しみにしていました。それは内容がとても素晴らしかったからです。教授はそれぞれの項目を専門に扱っている弁護士やベテランの公認移民コンサルタントでした。移民法に関わる仕事をしている人なら誰でも知っているような、この分野では有名な方々に直接講義をして頂く機会に恵まれ、毎回の授業が刺激的でした。その中でも特に印象に残っているのは難民法・犯罪に関わる移民法を専門にしている弁護士の先生の授業でした。テレビやラジオにも多数出演していらっしゃる方で、授業の最後に「難しいケースであればあるほどやりがいがあるんだ。僕は一人でも多くの人を助けたいからこの仕事に信念を持って取り組んでいる。僕のクライアントについて裁判官と討論する準備はいつでもできているんだ。」と胸を張っておっしゃる姿を見たクラスの皆は彼の移民法に対する情熱に感服し、盛大な拍手を送っていました。私も思わず立ち上がって拍手をした一人でした。移民弁護士事務所で働いていた時は一つ一つのケースがLegal Assistantの間で流れ作業のようになっており、正直そのケースに関して「深く関わっている」という認識に欠けていました。でも教授の情熱のこもったお話を伺って、私が公認移民コンサルタントになった際には必ず一つ一つのケースを最初から最後までしっかりサポートしようと思いました。

プログラムを無事終えて

無事にプログラムを卒業できる、しかもHonoursをもらえると分かった時には素直に喜びました。頑張ったことの勲章のように思いました。嬉しさの反面、このプログラムを卒業するということは次の大きな難関である国家試験を受験する資格に一歩近づいたということを意味していたので正直複雑な気持ちでした。

次回は公認移民コンサルタントの国家試験受験を振り返ります。