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移民改革【24回】

移民申請が可能か否か

お客様より「友人が○○のカテゴリーで何年前に移民を取得したので、私もそれで申請したらどうかと言われているのですが、綾さんできますか」という質問を時々頂くことがあります。このようなお客様には二つの大切なことをお話しています。一つ目はお一人お一人バックグラウンドが違うため、ご友人が申請できたカテゴリーでもご本人は申請できない可能性もあること、そして二つ目はカナダの移民法やルールはとても頻繁に改訂しているため、申請条件が変更になっている場合もあることや、最悪な場合もう既にそのカテゴリーが廃止となっていることもありうる、ということです。残念ながらカナダではここ数年 「移民申請条件を満たしている時に申請した者勝ち」という傾向があることも確かです。

今月はカナダの移民法改訂に関して私の見解も含めてお話したいと思います。

度重なる改訂理由

カナダは「移民の国」として有名ですが、以前のように「申請すれば誰でも移民できる」という時代は終わり、ハーパー首相が発表した移民法改革案のもと、近年様々な戦略が取られています。その代表的な例として、連邦スキルドワーカー(”FSW”)ポイントシステムの見直し、市民権虚偽申請に関する調査、偽装結婚移民申請の調査、難民移民に対するヘルスケア予算削減、カナダ経験移民クラス(”CEC”)の発足などが挙げられます。

ハーパー政府や元移民局の大臣であった、ジェイソン・ケニーはなぜこのような改革をしなければならなかったのでしょうか。それには様々な理由が挙げられていますが、大きな理由の一つはカナダ政府に対して虚偽の内容で移民権、市民権を取得し、政府の福祉手当や扶助金を受領する人が増えたためと言われており、その額はなんと5年間で約1.65兆ドルと言われています。つまり、この金額は私たちが納めた税金の中から支払われていたことになります。このように移民や難民システムの見えない「穴」を利用してカナダの政府のシステムを違法に利用する人を少なくする目的で、移民法や難民法の大幅な見直しが行われています。もう一つの大きな理由としては、FSWクラスで移民権を取得した人達のカナダでの経済的・社会的な適応能力についてリサーチを行ったところ、カナダで生まれ育った人と比べて格差があることが判明したことにあります。カナダ政府としては「スキルドワーカー」として移民を受け入れるのであれば、実際に今後カナダという国の発展に貢献できる、若くてスキルを持っている人達を移民として受け入れたいと考えています。

世論・私の見解

世間ではこれらの移民改革について賛成派と反対派、真二つに分かれています。主に賛成派はカナダで生まれ育った人達、或いはカナダで何十年も住んでいる人達、反対派はカナダに移民してきた人達のようです。但し改革内容全てにおいて賛成と反対、どちらかということではなく、改訂内容によっては移民の人達でも「これは改訂して良かった」というものもあるようです。

私は移民した者ですので、移民の改革については賛成できるものもありますが、賛成できないものも沢山あります。特に一番驚いたことは、審査が遅延していた2008年より前に受領した28万件にも登るFSWケースを、最終的に予算削減を理由に一切審査せずに申請者に返却すると発表したことです。申請者の中には7年間以上も移民申請の審査を待ち続け、あと一歩で審査が終了するところだった方もいらっしゃいます。途方に暮れた方より「綾さんどうしたらいいのでしょうか」とご連絡頂いたこともありました。革命家、と呼ばれたこともあったジェイソン・ケニー元大臣ですが、革命もここまで来るとやりすぎではないかという意見も出ており、私もそれに同意見です。

高度なスキルを持ち合わせた方々がこうして移民の機会を奪われていく姿を見るのはとても悲しいことです。今後移民法があまりにも厳しくなりすぎないことを願っています。