前号のおさらい【23回】

by | Aug 1, 2014 | 連載記事 | 0 comments

前号のおさらい

先月号のTORJAにて、ワークパーミットの種類、そしてその取得方法について詳細をお話させて頂きました。少し重複しますが、大まかにまとめると ①カナダで一般的なワークパーミットは雇用主が限定されているものであり、ワークパーミットに記載されている雇用主の元以外では就労不可である。②外国人がワークパーミットを移民局に申請する前に、まず雇用主がService Canada/HRSDCにLabour Market Opinion (“LMO”)を申請してPositive LMOを取得しなければならない。 ③LMO申請をするためには様々な申請条件を満たしていなければならず、オフィサーに「カナダ市民、或いは移民の人を雇う努力をしたが、このポジションを務めることができる該当者が見つからなかった」こと等を説得しなければならない。

以上のことを乗り越えなければワークパーミット取得は難しいということを説明させて頂きました。前号の記事を読まれた方から「カナダでワークパーミットを取得することがこんなに難しいとは知りませんでした。」というご感想をビジネスオーナーや、就労していらっしゃる方々から頂きました。日本国籍を持たない方々が日本でどうやって就労ビザを取得するのか、ということを日本人である私達が知らないことと同じで、カナダに住んでいらっしゃる方々も私達日本人のように外国から来た人達がどうやってワークパーミットを取得していないか知らない方が沢山いらっしゃいます。取得にはどれだけのステップを踏まなければならないかということを説明すると、皆さん口を揃えて「そんなに面倒なプロセスなの」と驚かれます。申請すれば発行される、というものではないのです。

LMO申請条件改訂

Service Canada/HRSDCが7月31日付でLMO申請条件を改訂しました。改訂内容は次の4点となります。①一つのポジションあたり$275のLMO申請料を支払うことが義務付けされました。 ②英語・フランス語のみが外国人の採用条件として認められ、それ以外の言語を採用条件とするためには、雇用主がService Canadaのオフィサーにその言語の必要性を書面で説明する必要があります。 ③求人募集の掲載期間に関しては改訂前は最低でも14日間とされていましたが、28日間に延長となり、掲載媒体数も最低でも3つとなりました。 ④LMOの申請書一式が新しくなり、更にいくつか新しい申請書が追加となりました。

改訂理由

政府の発表内容によると、改訂の一番の理由はカナダ市民、そして移民の人達の仕事を外国人が奪わないようにするためということです。つまり雇用主が外国人を雇うということは「カナダ市民、移民の人でこのポジションを務められるだけの特別なスキルを持ち合わせている該当者がいない」ので短期間的に外国人を雇い、「その特別なスキルをカナダ市民、移民の人に教える」という状況のみ、申請できるようにするということです。

その他の理由としては、カナダ人、移民の人達が支払う税金が外国人のLMO申請をカバーしなくてもいいようにLMO申請料を設けたこと、広告掲載期間を延長することでカナダ市民、移民の人達に「こういった求人がある」ということを知らせる効果がある、ことなどが挙げられています。

ワークパーミット取得が更に困難に

LMO申請の条件を満たすことは改訂前でも難しいといわれていましたが、残念ながら今回の改訂で更に申請条件が厳しくなりました。「日本語が話せるから」という理由でLMO申請をすることは難しく、今後のキーポイントは外国人が「どのような特別なスキルを持っているか」ということ、そしてそのスキルを証明するために「その分野での過去の就労経験が十分にあること」が申請必須条件となってきます。そして更に複雑になったLMO申請のプロセスに関して、十分な知識のある弁護士や政府公認移民コンサルタントにアドバイスを求め、申請代行依頼をご考慮されることをお勧め致します。