移民するかしないか【19回】

by | Aug 1, 2014 | 連載記事 | 0 comments

迷うなら

今月は移民申請をするかしないかで迷っていらっしゃる方に関するお話です。「Work Permitを取得してカナダでもう少し働きたいけれど、移民をするかどうかは今のところまだわからない」、「もう既に数年カナダで働いているが、移民申請をするかしないかで迷っている」といったお客様が時々いらっしゃいます。皆様口を揃えておっしゃるのが、「日本に帰るかもしれないけれど、帰らないかもしれない。まだわからない。」という理由のようです。

このような悩みを持っていらっしゃる方への私のアドバイスはいつも同じです。「迷っているのならば移民申請するべき」です。その理由はいくつかあるのですが、一番はWork Permit更新は何度もできないことにあります。以前はWork Permitの更新を何度もすることが可能でしたが、2011年4月1日より法律が改訂となり、通常の雇用主限定のWork Permitは最大4年間までのみ発行可能となりました。もし4年間カナダで就労した後にまたWork Permitを申請したい場合、申請前に4年間待機しなければなりません。従ってもしご自身がカナダで4年以上働く可能性が少しでもあるのならば、Work Permitが有効である間に移民申請をして審査を終わらせることがベストです。

その他の理由としては、移民法やビザ申請に関するルールの改訂にあります。ご存知の通り頻繁に改訂が行われているため、この「4年間」というWork Permitの上限も後々変わる可能性がないとは言えません。そして今現在ご自身が移民申請の条件を満たしていらっしゃっても、移民法が後々改訂になってしまい、その時点で移民申請の条件を満たすことができずに泣く泣く日本に帰国した方々もいらっしゃいました。皆様口を揃えて「もっと早くに申請しておけば良かった」とおっしゃっていらっしゃいました。移民申請の条件は年々厳しくなっているため、「申請できる時にしたもの勝ち」という傾向にあります。現時点で移民申請の条件を満たしていらっしゃる方はこれらの理由を踏まえてお早目の申請をご検討下さい。

駐在の方も

近年、日系企業より駐在でいらっしゃっている方でも移民申請をなさる方が増えてまいりました。平均して皆様3年から5年の任期でカナダへお越しになられる方が多いようですが、プロジェクトによっては長期化する可能性もあることや、基本的にいつ帰任になる、ということがわからないのでWork Permitの延長をするかしないかということを見極めることが難しい、など様々な理由から移民申請を早々にご希望になられる方が増えていらっしゃいます。また配偶者の方・お子様連れでこちらにお越しになられている方は「家族がカナダに残りたいと言っている」、「子供が将来カナダの大学に行く時に学費が割安になる」などの理由から移民申請をご希望になられる方もいらっしゃいます。

駐在の方によく見られるケースとしては次のような例が挙げられます。通常現在お持ちのWork Permitの失効日を過ぎてしまった場合、失効日までに延長申請をしておけば次のWork Permitを移民局より受領するまでは合法的にカナダに滞在して就労することは可能です。しかしながらその期間中にカナダ国外へ出張しなければならない場合、出国したと同時にWork Permit延長申請が取り消しとなってしまうため、とても面倒なことになります。次のWork Permitを受領するまでは身動きが取れず本当に困るのでもうWork Permit延長申請はこりごり、とおっしゃる方もいらっしゃいました。やはりこういったことを考慮しても、早めの段階で移民申請をしておいた方が良策ではないか、と考える企業が増えてきています。

よくある質問

「移民をした後はカナダにずっと住まなければならないのですか?」という質問をよくお受けします。そのようなことはありません。何らかの理由で日本に本帰国される方もいらっしゃいますが全く問題はございません。但し移民というステータスを保持したい場合には注意が必要となります。移民となってから5年毎に更新をしなければなりません。 更新にあたり「申請日よりさかのぼって過去5年間に合計で730日間、つまり合計2年間カナダに滞在していたこと」を証明する必要がありますので滞在日数に関してはご注意ください。

「移民する、イコール日本国籍を失うということですか?」という質問を頂くことがありますが、これは間違いです。移民をするということはカナダで市民権を取得するということとは違い、「日本国籍を保持しつつ、カナダで長期滞在できる権利を取得する」こととお考え下さい。もしご自身の中で少しでも移民申請にご興味があれば、まずはご自身が移民申請の条件を満たしていらっしゃるか否かということをお調べになるか、弁護士、或いは政府公認移民コンサルタントにお問い合わせすることをお勧め致します。