市民権申請条件改正【第40回】

by | Dec 20, 2015 | 連載記事 | 0 comments

今回は2015年6月11日にCitizenship and Immigration Canada(”CIC”)が発表した、市民権申請条件の改正について詳細をお話致します。市民権申請に関するお問い合わせは、お客様より頂く質問の中でも意外に多いものです。申請についてご興味のある方は新しい申請条件をしっかりと理解し、プランを立てることをお勧め致します。

一段と厳しくなった市民権申請条件

カナダの市民権申請をご検討されていらっしゃる方であれば既にお気付きかと思いますが、昨年より市民権申請に関る法律改定が少しずつ行われてきました。そして今回、2015年6月11日付で最後の改定が施行されました。新しい申請条件の詳細は以下となります。

  • 18歳以上の申請者は、市民権申請日から遡って過去6年間のうち、1,460日(4年間)カナダに滞在していなければなりません。(これまでは過去4年間のうち1,095日間、つまり3年間)
  • カナダに滞在していた過去4年間のそれぞれの年において183日以上カナダに滞在していなければなりません。
  • PRになる前の滞在日数も以前は考慮の対象でしたが、今回より対象外となりました。
  • 14歳~64歳の申請者には知識・語学力に関する条件が課せられます。(以前は18歳~54歳が対象)
  • 18歳以上の申請者は、市民権取得後カナダで居住するつもりである旨を宣言し、納税義務を果たしていなければなりません。
  • 海外での過去の犯罪も申請に影響することとなります。(以前はカナダ国内での犯罪のみ適応)
  • 今回の改正により虚偽表示に対する取り締まりがより厳しくなりました。虚偽表示が判明した者に対し最大100,000ドルの罰金、及び/又は懲役5年の刑が課せられます。
  • 市民権取得に関わるサービスを提供するコンサルタントを取り締まる機関として、Immigration Consultants of Canada Regulatory Council (“ICCRC”)が指定されました。市民権申請者の代理人としての活動、また市民権取得に関するアドバイスを提供してもよいとする者はICCRC会員、弁護士、公証人(パラリーガルおよび法学部生)に限られるものとします。
  • 市民権取得後、虚偽の内容を元に申請したということが判明した場合、市民権剥奪が可能となりました。(以前は不可能)
  • 6月11日付で、1946年以前に生まれ、1947年1月1日に「カナダ市民権法」が施行されたときに市民権を取得しなかった「国籍を持たないカナダ人 (Lost Canadians)」に対して、自動的に市民権が与えられます。これはカナダ国外で生まれたカナダ人の子(1世)にも適用されます。

審査期間の短縮化

以前までは一つのケースにつき3名の審査官が審査を担当していたため、審査期間に大幅な遅れが見られていました。昨年より一つのケースにつき1名に減らしたことで審査期間が大幅に短縮され、規定発効後に受理された市民権申請は1年以内に審査が完了しています。6月11日前にケースが受理され、現在停滞中のケースについては今年度末までに審査完了に到達する予定であるとのことがCICより発表されています。また、2015年4月1日より前に申請した方は2016年3月31日までに審査結果が通知される予定です。

今回の改定の影響

申請条件をご覧になればお分かりになるかと思いますが、滞在期間が増えたことや言語テスト・知識テストを受けなければならない年齢の変更などが原因で、今後市民権を申請されること自体について躊躇される方もいらっしゃるかもしれません。また以前はPRになる前のカナダ滞在日数も一部市民権取得条件のための日数に換算されていましたが、今回の改定によりこの期間が考慮の対象外となったことで、市民権申請条件を満たす時期が大幅に遅れる方もいらっしゃるかと思います。

ご注意下さい

カナダ市民権取得に関わる新たな条件を反映させた申請書は2015年6月11日よりCICウェブサイトにて閲覧・保存可能となります。旧版の申請書を用いた申請が2015年6月10日より後に受理された場合、申請者へ返送されますのでくれぐれもご注意下さい。