No. 51 – Express Entry 改訂事項発表

by | May 10, 2017 | 連載記事 | 0 comments

個人移民申請を考えていらっしゃる人なら既にご存知かと思いますが、2015年1月1日にExpress Entryが発足しました。これは以前のConservative政権の下発足した条例であり、昨年Liberal政権に渡って以来、IRCC(移民局)の大臣は「Express Entryのポイントシステムについて変更をする予定がある」と度々述べていました。この度具体的な改訂事項の発表がありましたので、今回はその内容を一つ一つ説明させて頂くと共に、どのようなシチュエーションの人にとってこの改訂が有益であるかということについてお話致します。

2016年11月19日より変更となる内容

  • Arranged Employment
    今までArranged Employment 枠で600点を取得するためには 1) 雇用主が Positive LMIAをESDCより取得し、(雇用主名が記載されている)Work Permitを移民局より取得、更にPermanent Job offerを保証してもらう、或いは2) Open Work Permitで就労中の間に雇用主がPermanent Job offerを保証するという趣旨のPositive LMIAをESDCより取得する というルールでした。

今回、この600点という点数が大幅に減点となります。
職種内容が「NOC 00」で始まる番号に該当する場合には200点、それ以外のNOC 0, A, Bの職種である場合には50点となります。この点数を取得するためには以下いずれかの条件を満たしていなければなりません。

  1. LMIA免除の特別なWork Permitを保持している場合(例:NAFTA、Intra-Company Transferee Work Permit等)、別途PR申請のためにLMIAを取得することは不要だが、Work Permitに記載がある雇用主の下で既に12ヶ月間継続して就労しており、更にPR を取得した後の12ヶ月分の雇用を保証されている。
  2. Positive LMIAを元に雇用主限定のWork Permitを移民局より取得し、既に12ヶ月間継続して就労しており、更にPRを取得した後の12ヶ月分の雇用を保証されている。
  3. Open Work Permitを保持し、その期間中に既に12ヶ月間継続して就労しており、雇用主がPermanent Job offerを保証するという趣旨のPositive LMIAをESDCより取得している。PR を取得した後の12ヶ月分の雇用を保証されている。

 

  • Education
    カナダでの就学歴がある人に対する追加点は特にありませんでしたが、これも2つの改訂が発表されています。
  1. カナダで1年間、或いは2年間のDiploma或いはCertificate を取得した場合、15点追加。
  2. カナダで3年間以上のDegree、Diploma或いはCertificate(Master’s, Professional, Doctoralを含む)を取得した場合、30点追加。

 

  • PR申請までの期間

Invitation to Applyを受領してから、90日間の間にPermanent Residenceの申請をしなければなりません。(以前は60日間のタイムリミットでした。)期間を延長したことで、無犯罪証明書や健康診断の受診証明書もPR申請と共に必ず提出することが義務付けられることとなります。

今回の改訂がどのような人達に影響を及ぼすか

恐らくTORJAの読者で個人移民を真剣に考えていらっしゃる方は以下2つのカテゴリーに分類される方が多いかと思います。今回の改訂がそれぞれのシナリオにどう影響するかということをお話します。

  1. カナダでCollege或いはUniversityを卒業し、Post-graduation Work Permitで就労されている方の場合でExpress Entryの点数が450点~480点に満たない場合、今までは雇用主に依頼してLMIAを取得してもらい、600点追加を狙う、というパターンでした。今回の改訂により、カナダでの学歴を元に15点或いは30点をもらうことはできても、LMIAに関してはたとえ(膨大な時間と労力を費やして)雇用主に取得してもらったとしても、残念ながら50点しか追加点はもらえません。従って雇用主にLMIA申請を依頼する前に、50点追加されることでInvitation to Applyを受領する確率があるのか、ということを事前に見極める必要があるとお考え下さい。一方このシナリオに該当する方で、「LMIAは不要だが、ITAを受領するにはあと数点足りない」という方々にとっては、今回の改訂は学歴で追加点を得ることができるため、朗報であると言えます。
  2. 日本より駐在員としてカナダにある日系企業に出向しており、会社側或いは個人の意向(お子様の学業など)で個人移民を検討していらっしゃる方の場合は、Director クラスの職種(NOC 00)であれば追加で200点を取得することが可能です。またこれまでのようにLMIAをESDCより取得することは不要となります。但しこれまでと同様、このNOCのレベルに見合った言語テストのスコアを満たすことは必須となりますのでご注意下さい。

混乱を防ぐために

今回の改訂は申請する人のシチュエーションによっては、とても大きい改訂となり得ます。特にカナダは移民法の改訂がとても頻繁に(そして突然に)起こるため、確実に移民申請に繋げるためにも、経験豊富な移民弁護士、或いは政府公認移民コンサルタントにご相談されることをお勧め致します。