No. 59 – 言語の壁

by | Aug 3, 2018 | 連載記事 | 0 comments

移民申請やビザ申請のプロセスにおいて、言語の壁を感じたことはございますか?今月は様々な例を挙げながら、「理解すること」の大切さについてお話致します。

Sponsorship移民申請(配偶者・両親・祖父母)
Sponsorship移民申請には様々な種類があります。それらのどの種類においても共通して多く見受けられるのは、申請者とスポンサーの間の言葉の壁です。ケースに関わる人が全員日本人でしたら全く問題はないのですが、大多数が申請者は日本人、スポンサーはカナダ人というパターンですので、法的な責任や申請条件、申請のプロセスや申請した後のフォローアップなど、日本語と英語でしっかりとケースに関わる人全員に事前に説明する必要があります。日常会話はできても、多くの場合、皆さん英語の日常会話はできても、法的なことに関しては第一言語と同じレベルで話し合うことができない方がほとんどのようです。

またSponsorshipにて移民申請をするためには、様々な書類を必要とします。その書類のうち、戸籍謄本などのカナダ人には馴染みのない、日本固有の書類についての詳細(種類や記載必須内容)についてお客様に指示を出させて頂く際、「日本語で説明できて良かった」と私でも感じることがあります。このようなシチュエーションで、言葉の壁を感じる方が多くいるようです。実際私が起業する前にお世話になったカナダ人の弁護士事務所でも、戸籍謄本について(その存在自体を知らない、記載必須事項が分からない、種類が分からないなど)手間取っていたのを覚えています。

駐在員の方のWork Permit申請・出張のためのBusiness Visitor申請
日本の本社からカナダ支社に駐在員として一定期間赴任される方は、特殊なWork Permitを申請しなければなりません。また長期赴任ではなく、(決まった条件にて)短期間出張でカナダにご滞在される方はBusiness Visitor申請をする必要があります。これらの特殊なビザを申請するためには、多くの場合日本本社の担当社が弁護士・政府公認移民コンサルタントと連絡を取って、希望の渡航日に間に合うようケースを進めて行く必要があります。ここ5、6年程の間に、「日本語が通じないので、書類に関する重要な打ち合わせにおいて、カナダ人の代理人との意思疎通を行うことが難しい」「急な海外赴任や出張に対応してもらえない」「不在ばかりで、アシスタントとしか連絡が取れない」などの理由から、日本人の私に相談したいというご依頼を受けることが多くなりました。やはり一番の原因は、日本本社のご担当の方がプロセスに関する書類や詳細の伝達、相談などのコミュニケーションを全て英語ではなく、日本語で行うことの難しさにあるようです。

医師やClinical Researcherとして病院で就労する方のWork Permit申請
同じく病院で就労される方専用のWork Permitというものがあります。日本滞在中にカナダの大きな病院からJob offerを受け取り、「ビザの申請をして下さいと指示されたが、何から始めていいかわからない」と言った方から毎年多数お問い合わせを頂きます。驚かされるのは、病院側が指示した「取得すべき」ビザの種類に誤りがあったり、病院側が発行した(誤った)「書類」さえあれば簡単に取得できると指示されていたりなど、病院も担当者によっては全くWork Permit申請について把握していないことが見て取れるケースが沢山あることです。このビザを申請される方の大多数が家族を帯同されることをご希望なので、ストレスなくきちんと一度で申請を成功させたい、その為には政府との間だけではなく、カナダの雇用主との間にも立ってサポートしてもらいたいというようなご要望もお受けします。

まとめ
移民申請やビザ申請はある程度の不安を伴うプロセスですので、言葉の壁が原因で不要なストレスを感じることは避けたいところです。またWork Permitなど渡航日が既に決定しているケースなどは、申請前の準備段階よりいかに遅延を出さずにスムーズにケースを前に進めるか、ということがとても大切な要素となります。

カナダには移民法を取り扱う多数の弁護士・政府公認移民コンサルタントがいます。その中でも、日本語でコミュニケーションを取れる方は僅かしかいません。更にその中でも英語が日本語と同レベルで堪能な方は一握りです。いかなる難しいケースにおいても、最終的に移民局から承認が降りるように、お客様・政府との間に立ってスムーズにコミュニケーションの橋渡しができる人を選ぶことが成功の鍵と言えます。