No. 68 – PGWPの注意点

by | Sep 24, 2018 | 連載記事 | 0 comments

今月はPost-graduation Work Permit (“PGWP”)に関する訴訟の例を挙げながら、このビザの具体的な注意事項についてお話致します。

■人気のビザであるが故

語学留学ではなく、カナダのUniversity或いはCollegeを卒業してスキルを得たいと思っている人にとって、一番の魅力はPGWPを卒業時に申請できることかと思います。2年以上のプログラムを卒業していれば3年間のPGWPが発行されるということ、またその3年間のうち1年間カナダでスキルを要する職種にて就労すれば移民申請への道へ近づく(この他にも条件があるため絶対に申請できるという保証はないのですが)という事実を承知の上で、留学生としての割高な授業料を支払ってでも就学したいという方が多くみられます。

このような方々に声を大にして伺いたいことがございます。「PGWPの申請条件をしっかりと理解してからUniversityやCollegeに申し込みをしていらっしゃいますか?」「その学校を卒業した際、絶対にPGWPを申請できるかということを予め確認致しましたか?」ということです。PGWPを申請するためには、PGWP発行が認められている学校を卒業していることが条件の一つであることを覚えておいて下さい。学校名が○○Collegeであったとしても、必ずしもその学校を卒業すればPGWP申請ができるということではありません。従って入学の手続きを行う前に、しっかりとリサーチをすることが最低限必要となるとお考え下さい。

■弊社にご相談された方のケース

先日、一組のカップルが弊社へコンサルテーションにお越しになられました。年配のカナダ人男性の方と、30代後半の日本人女性のカップルでした。お付き合いは数年前からしているが、まだSponsorshipでの移民申請は考えていらっしゃらないとのことで、女性の方がカナダのCollegeにて就学し、卒業してPGWPを取得してから移民申請に向けて活動していこうと思っていた、とのことでした。ただその方がPGWPではなくVisitor Recordを保持していたので理由をお伺いしたところ、「実はCollegeに騙された」「人生を台無しにされた」「多額の授業料を無駄にした」との返答が返ってきて驚きました。

その方はそのCollegeのアドバイザーに入学前から「この学校を卒業すればPGWP申請の条件は満たしますか?」と何度も聞いていたそうです。Study Permit申請の際に、その学校用のDesignated Learning Institution番号があったので(卒業後のPGWP申請も)問題はないだろうと思ってしまったとのことでした。卒業間近になってPGWPを申請する条件を満たしていない学校であるということを知って激怒し、責任者と授業料の返金について何度も話し合いを続けているとのことでした。

■訴訟になったケース

報道などで既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、エドモントンにある専門学校と、その学校に通学することを勧めた移民コンサルタントに対して民事訴訟を起こした留学生が勝利するというケースがありました。これは移民コンサルタントがこの専門学校より紹介料を受領しており、率先して留学生をこの学校へ送っており、卒業と同時にPGWPを申請できない可能性があったにも関わらず、斡旋していたとのことでした。

このケースの興味深い点は、カナダの移民局(IRCC)がMaclean誌のインタビューにて「本来PGWPの申請条件に該当しない学校を卒業している留学生多数に誤ってPGWPを発行している事実がある」、ということを公に認めたことにあると言えます。審査官の曖昧な審査基準に関して様々な分野から問題提起がなされたこともあり、2018年初旬より移民局のWebsiteにて「PGWP申請が可能・不可能な学校」のリストが掲示されるようになりました。

■十分にお気をつけ下さい

PGWP申請を目指してカナダでCollegeへ通うことを決心された方は、留学生として多額の授業料や生活費を払ってカナダに長期間滞在することとなります。ご自身の人生に関わることですので、学校についてしっかりと事前にリサーチされることをお勧め致します。