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トルドー政権における移民法の問題点

明けましておめでとうございます。今月号は新年第一号ということもあり、今後トルドー政権において移民法がどのように変わって行く可能性があるか、ということについてお話します。

■学生ビザと個人移民申請

ご存知の通り、カナダは「移民の国」です。世界各地から沢山の人が毎年カナダに移民しており、この数は毎年増加しています。カナダに観光やワーキングホリデービザで渡加し、短期間滞在された後、自然豊かで、個人を尊重するカナダという国の魅力に惹かれて「この国に住みたい」という人は沢山いるのではないでしょうか。そしてその方々が「最終的に移民申請の条件を満たすためには、今後の身の振り方をどうするべきか」と考え始めるにあたって、まず最初に考慮に入れるのが、「カナダでキャリアを確立すること」、すなわち大学やカレッジのプログラムを卒業して、ポストグラジュエーション就労ビザを取得し、スキルを要する仕事で最低でも一年間就労することのようです。

ただ、この方法は果たして本当に「移民に繋がる」方法なのでしょうか?

カナダ政府は長年に渡って、学生ビザを取得してカナダの大学やカレッジで就学することを大々的に勧めています。また政府はこれが最終的な「Immigration Pathway」、つまり移民申請への道であるということも明白に公で述べています。このキャンペーンを長年に渡って行ったことで、学生ビザを取得する外国人の数が2014年から2018年の間で、68%も増加しています。2018年に発行された学生ビザの数は572,415件でした。そして2018年に外国人留学生が及ぼしたカナダの経済効果は21.6兆ドルとも言われています。つまりカナダ政府にとって学生ビザ推進キャンペーンは大きな成功を収めていると言えます。

但しこのキャンペーンが成功したことで、外国人留学生の数が増加し、今度は移民申請に影響を及ぼしています。つまり学生ビザの発行数が増加するということは、それだけカナダの移民申請を希望する留学生が増えるということです。Express Entry(“EE“) におけるInvitation to Apply (“ITA”)の発行数は毎年増加傾向にあり、近年ではおおよそ85,000件から90,000件程発行されています。572,415件の学生ビザ発行数に対して、いかにこの数が少ない数字であるかということはお分かりになるかと思います。実際、カレッジを卒業して1年間スキルを要する仕事で就労した方のEEの点数を割り出してみると、ITAを受領する点数に届かないという状況の方が多々いるという現状に直面しています。

長年一線で活躍しており、政府との繋がりもある著名な移民弁護士などが、「学生ビザを取得することで移民申請をすることができる、という思わせぶりなフレーズをカナダ政府は言うべきではない」と述べています。もしそのフレーズをキャンペーンで今後も使用するのであれば、EEの点数計算において、カナダで一定期間留学し高い授業料を支払った者に対して少なからず優遇するようなシステムに変えるか、或いはITA発行数を増やし、選考最低点を下げるべきである、と指摘しています。

学生ビザで留学した人がEEでITAを受領する確率が低いことを問題視する声は以前より出ていることなどから、今後何らかの形で法律が改定になる可能性もあり得ると言えます。

■両親・祖父母の呼び寄せ(移民申請)

このカテゴリーについて興味を持っている方であればご存知かと思いますが、近年両親・祖父母の移民申請をすることはとても難しくなってきています。それは年間の受け入れ件数に上限が加わったこと(おおよそ21,000件)や、申請方法が変更になっていることが挙げられます。

特に2019年の申請方法は決まった日時にオンラインで申請希望フォームを送信する、という方法でしたが、100,000人が同時に移民局のウェブサイトにアクセスしたため、サーバーが対応しきれず、受け入れをオープンしてから10分後にはシャットダウンするという事態が発生し、カナダ移民局のソーシャルメディア(FacebookやTwitterなど)はこのシステムはあまりにも不公平であるというメッセージで大炎上していました。

そしてそもそもこのカテゴリーにおいて、受け入れ条件を設けることは必要であるのか、ということも議論されています。両親・祖父母の移民を受け入れることはカナダ政府にとって、医療などの経済的負担が発生することであると認識されています。確かに個人移民や、カナダ国民或いはPR保持者の配偶者・子供を受け入れた方が年齢的にも若く、長期間税金をカナダに収めることとなるため国にとっても利益があると考えることは当然ですが、識者などは「両親・祖父母を受け入れることはカナダで成功している人々の家族計画を助ける効果もあるため、将来的にも国にメリットが発生するのではないか」とも言われています。

いずれにせよ、今後両親・祖父母のカテゴリーは失敗を繰り返しながら最終的にEEのような、画期的で(遅延などを遅らせるための)効果的な方法に落ち着くのではないかと予測している人もいます。今後も注目して動向を見守りたいところです。